個々のセクションにおける要点に入る前に、最後にもう一つだけ。
これは、実際に試験を受ける段になったときのことになるのですが、午前IでもIIでも、あるいは午後IでもIIでもすべてに当てはまることです。つまり、解答用紙が配られ、問題用紙が配られ、開始の合図があったら真っ先にやらなければならないことについてです。
それは、受験番号と名前(と選択問題の番号)を間違いなく記入すること。
ではなくて(それももちろん重要なのですが)、配られた問題用紙の最初から最後まで、ざーっと目を通して一読すること。これは、午前の四択問題だろうと午後の長文問題だろうと同じです(特に午後は問題選択式なのでこれが重要になってくる)。
たぶん、この手の試験になれていないと、とにかく一問目から問題を解き始めたい衝動に駆られると思います。
これは試験開始の直前までテキストやノートを見直している人によく見られがちな心理ではないでしょうか。直前まで見ていた問題が出るかも知れない、それを覚えているうちにとにかく問題を解き進めなければ・・・という考え方ですね。
しかし、それはダメです。
午前でも午後でも、とにかくまずは問題用紙をざっと眺めてください。それも、最初から最後までざっくりと。
その第一の理由は、これをすることでココロにゆとりがうまれる(かもしれない)ことです。大体、直前にテキストなりノートなりを見ていた箇所が試験問題として問われ、それがすんなり解けるなんて偶然は、まずありません。仮にその偶然があったとしても、その問題が解けるのは直前にテキストでその部分を見ていたからではなくて、それまでの勉強でその問題に関することをきちんと学習したからに他なりません。
「忘れる前に解かなくちゃ」という慌ただしさを、全問題をざっと眺めることで取り除くわけですね。
そんなことをしていたら、問題を解く時間がそれだけ減ってしまうと思うかも知れません。時間が減ってしまえば、もっと気持ちが焦ることにならないか、というその考え方も理解はできます。
でも、午前Iは30問を50分かけて解くことができます。単純計算で1問あたり約1分30秒(と少し)。午前IIは40分で25問。こちらも単純計算で1問あたりやはり約1分30秒(と少し)。
午後Iは4問中2問選択で90分ですから、1問あたり45分。午後IIは2問中1問選択で120分ですから、こっちは1問あたりまるまる2時間使える計算になるわけです。
過去問を、本番と同じ条件で解いてみると分かるのですが(それをするには丸一日過去問にかかりっきりになる必要があるので、おつとめしてるとなかなかできないんでが)、これって実は結構時間が取れるってことなんですよねー。
さて、では最初に午前の方から考えてみましょう。
午前の問題はIもIIも単純に四択です。もちろんその中には計算問題も含まれますが、単に知識(用語の意味とか)を問われる問題も結構あります。ということは、平均すれば1問あたり1.5分であっても、実際にはそれよりも圧倒的に時間がかからない問題の方が多いんです。だいたい、用語の意味を問うような問題は、時間をかけたからと言って解を導けるようなものではありません。知らないものはわからないんです。
つまり、解ける問題はあっという間に答えが分かる、解けない問題は何となく適当に埋めるしかないが、これも要するにあっという間に答えが埋まるということでもあります。となると、時間がかかるのは計算問題くらいでしょう?
それなら頭から解いていっても同じでは?と思うでしょう。仮に最初に計算問題が出題されて時間を取られてしまったとしたって、後に出てくる解ける問題、解けない問題で取られた時間を回復できるのですから。ペース配分はどういう順番で問題を解いていったところで大して違いが出るわけがありません。
そして、それは正論です。
しかし、問題を最後まで読むことの重要性はペース配分にあるのではありません。そうではなく、もっと心理的な部分。
すぐ上で述べたように、午前の問題は「知らないものは分からない」問題が必ず出ます(少なくとも、私の場合はそうでした・・・)。もし、この「知らない・・・」が立て続けに問1から3〜4問続いてしまったら?
分からないものがオンパレードで、結構焦ってしまいますよね。だって、頭から解いていこうとしているのに、分からない問題ばっかり続くんですよ?
そう、焦るのは時間が無くなるからではなく、分からない問題(知らない問題)が続くからなんです。それが最初からなら、なおさら。
もちろん解き進めていくうちに、分かる問題、知っている問題、解いたことのある(過去問と同じ)問題が出てきます。でも、そこに来るまでの心理的負担はかなりなものになってしまうでしょう。そうすると、本当は分かっていたはずの問題だったのに、気持ちが焦って分からなくなってしまうなんてことも・・・?
ですから、まずはすべての問題に先に目を通す。午前Iなら30問、午前IIなら25問すべてに。
そして、目を通して分かる問題、すぐできる問題、計算すればできそうな問題、当てずっぽうで解くしかない問題の目星をつけます(つけながら解いてもかまわない)。
こうすると、確実に点が取れる問題から先に解いていくことができます。この問題は、自分にとって解くのに時間も労力も必要としない問題ですから、すぐに埋まります。解答用紙にそれなりに答えが埋まると、これで結構安心するものです。
だって、合格するには100点を取らなければいけないわけではなく、また上位何%に入っていなければいけないというわけでもないんですから。とにかく60点以上取れればいいんです。そんな中、たとえば30問中8問すぐに解ける問題が見つかり、解答用紙を埋めることができれば、(全部正解しているとして)これで30〜40点近く得点できた計算になりますよね。30問中20問正解が最低ラインだとしても、これでその最低ラインの半分近くをクリアできるわけですから、その後にやる問題なども、落ち着いてできようってもんです。
落ち着いて問題と向き合えれば、(分からない問題は落ち着いたくらいで分かるようにはなりませんが)計算問題で単純ミスをしてしまったり・・・という可能性を減らすくらいの効果は期待できるでしょう?
午前に関してはですから、こうした心理的な側面からすべての問題に先に目を通し、できる問題から片づけることをオススメするわけです。確実に点がねらえる問題を終えたら、残りのすべての時間を計算問題に割り当てる位でOK。分からない問題は、当たれば儲けモン、くらいのキモチでいいんです。解ける問題と計算問題が正解していれば60点以上いける、そうした確信を持てれば午前はほぼクリアですよね!
ところで、この「問題に先に目を通す」理由は、午後の場合は午前とは少し理由が異なります。
午後は、Iが4問中2問選択、IIは2問中1問選択で、選択した問題以外に解答をしても得点になりません。ということはつまり、午後の場合はどの問題を選択するかが非常に重要な意味を持ちます。
特に私のように概略的な事柄は押さえているけれども、プログラミングなどの技術的な事柄に疎い人間の場合は、問題の選択を間違えるともうまったく歯が立たないという事にもなりかねないのです。
たとえば私が不合格になったH24春は、午後Iの問1が「脆弱性検査」、問2が「Webアプリケーションのセキュリティ」、問3が「保守作業の証跡確保」、問4が「情報セキュリティ技術者の育成」でした。
これらの問題をまず最初から最後まで目を通し、問1には設問にソースコードの理解を求めるものが含まれているのでパス、問2にはSQLインジェクションのつっこんだ問題が含まれていたのでパス・・・というようにして、可能性のある問番を絞り込みました。
午後の選択問題絞り込みで重要なのは、「何が問われている問題なのか」を適切に理解すること。自分の得意な、或いは不得手な問題が問われていないかをうまく見分けることで、少しでも得点の可能性が高いものを取捨選択しなければなりません。
しかし実際の所、午後の問題はIでもIIでもそれなりに分量があります。これを一字一句おろそかにしないように読んでいったのでは、確かに時間が不足してしまうでしょう。
なので、午後の問題を絞り込むときには、問題の本文はさらっと流し読みし、むしろ各問題の中にある設問に注意を払って目を通してください。
これは、問題本文を見る限りでは技術よりの問題のようだが、実際に各設問の大部分はそのインシデントの管理や分析についてのもので実はそれを選択していれば得点をねらうことができた、といったパターンやその逆(本文は管理や計画の話だったのに、設問はより技術的な手法が問われていた、など)を避けるのに非常に有用です。
私は実際そうやって問題を選択しましたが、後で(試験が終わってから)見返してみても、選択した問題は間違っていなかったと思いました(一回目は結果的に不合格になってしまいましたが、他の問題を選んでいればもっと高得点がねらえた・・・ということは全くなかった)。
実際設問をどの程度深く追うのかは分量、内容、解き手の技量、理解度・・・などで変わってきますから一概に○○まで、とは言えないのですが、設問が下線部について問うているのであれば、本文の該当箇所を参照するくらいできれば十分ではないかと思います。
ただし、ここではあくまで解けそうかどうかを調べるだけ。実際に解くのはその問題を選択することを決めてからになるので、深追いしすぎないように注意しましょう。
私の個人的な時間配分ですが、午前はI、IIとも問題に目を通す過程でできそうな問題は解き進めて行き、これで大体10分程度を費やしました。残りの時間の大半は可能性のあるもの(考えれば解けそうな問題や計算問題)に使い、どうがんばっても分からないだろ!?という問題には最後の5分ほど取っておいた位でした。
午後はIで問題選択のためのプレリード(というのか?)を20分程度行い、選択問題を決定(従って、実際に問題を解く時間は1問あたり30〜35分程度となった。それでも設問を捌ききれないということはなかった)、午後IIでは30分程度を問題選択のための予備時間に取り、結果解答時間は90分程度となりました。こちらも解答時間が圧倒的に不足する、ということはありませんでした。
本番の試験は2回しか受けていませんので(過去問はその前数回分やりましたが)、確実なことは言えませんが、大体午後の問題は技術的な事柄に力点が置かれている問題と、マネジメント的な事柄に力点が置かれている問題と半分ずつになっているように思いました(むろん、その中にそれぞれクロスするような設問が含まれていることも多い)。
ということは、自分の得意な方で(というか、苦手じゃない方で)選択問題を固めておいたほうが無難に得点をねらえます。特に午後は午前と違い、記入式の解答を求めてきますから(20文字以内で説明せよ、みたいなやつ)。
とんちんかんな文字列で回答欄を埋めても全く意味はありませんが、少しでも関係するようなことがかければ得点が加点されるかもしれませんし(加点方式なのか減点方式なのかは分かりませんが)、だとすればどの問題を選択するかというのは、ある意味で試験の合否を決定づける要素と言えなくもないのです。
ということで、試験当日、「開始!」の合図の後にまずやらなければならないこと(というか、私がこれまで情報処理技術者試験を受けてきた中で必ず行ってきたこと)の紹介でした。
この方法の唯一の懸念は、(特に午前では)解答がマークシート方式のため、とびとびでできる問題に答えていったときに、問題番号と解答のマークシートがずれてしまうおそれがある、ということくらいでしょうか。
よっぽどのことがない限りそうしたミスはないと思うのですが、それでも可能性としてはゼロではないので・・・(^-^;;