って、当たり前なんですけどね。
えーっと、ぶっちゃけた話をしてしまえばこういうことです。
私は(自分ではそこまでとは思っていませんが)PCヲタです。マシンは自作、OSはLinux(Windowsは仮想環境Xen上で稼働)。スラドに集う猛者(いわゆるGEEK)たちの足元にも及びませんが、彼らの会話にたまにクスッとすることがあります。そしてImpress PC watchは日常的に閲覧。
つまり、PCがらみの話題には比較的明るいんです。なのでこのジャンルからの出題は結構得意だったりします。
たとえばDMAの説明【H22 秋 AP 午前 問12】を問われてもすぐに解けますし、SRAMやDRAMの特徴【H22 春 高度共通 午前I 問8】も見ればすぐに正解がわかります。シリアルATAの規格【H21 秋 NW 午前II 問22】だって、コネクタやケーブルの形状を思い浮かべながら解くことができます。
これらは大体が自分でPCを組み立てた経験が役に立っているわけです。
確かに、私が受験した情報セキュリティスペシャリストがこれらPC環境を一義的な出題範囲としているわけではありません。それは、情報処理技術者試験センターが公表している資料からも明らかです(リンク先PDFの41ページにある表14を参照)。
だからといって、この知識は全く役に立たないかというと、そうではありません。
リンク先を確認してもらえれば分かるのですが、午前試験の出題分類は3分野(テクノロジ、マネジメント、ストラテジ)を9つの大分類(基礎理論、コンピュータシステム、技術要素、開発技術、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム戦略、経営戦略、企業と法務)に区分けします。この9つの大分類をさらに23の中分類に細かく仕分けます(さすがにこれは割愛。詳細はリンク先を見てください)。
この分類は、共通知識(午前I)でも専門知識(午前II)でも共通です。
あらゆる試験区分がこの23の中分類から出題されるのですが、この23区分のすべてが出題範囲として指定されるのは「共通知識(午前I)」の試験だけ。情報セキュリティスペシャリストでは、この23区分のうち7区分が出題範囲として指定されています(そしてPCがらみの区分はその中に含まれていない)。
つまり私がPCの経験から得た知識は専門試験としては(直接的に)役には立たないということ。しかしそれは、共通知識(午前I)の出題範囲ではあるわけです。
そしてこの23区分に従えば、私がPC自作〜Linux利用までの一連の中で身につけた知識で、どうやらそのうち4〜5の区分をカバーできそうなカンジです。もちろんその区分のすべてを完璧に押さえているわけではありませんが、23のジャンルの試験を18程度のジャンルの勉強に絞り込むことが可能になるのです。
さて、考えてみてください。
午前Iの試験は、試験問題自体が30問しかありません。そして試験区分は23区分。ということは、どういうことかというと・・・。
仮に23区分のすべてから出題されるならば、1区分あたり1問〜2問程度の出題。この前提で行けば、4〜5/30、大体1/6〜1/3程度は得点できる可能性が高いわけです。
もちろん、実際にはすべてのジャンルがまんべんなく1問ずつ出題されるなんてことはありませんが、それは逆に言えばこの4〜5区分で複数出題される可能性もあるということ(情報処理なのだから、このジャンルが全く出題されないとは考えがたい)。
こう考えれば、午前I対策としてもPC関連の知識は身につけておいて損はしない、ということが分かるかと思います。
ただ、午前Iは一度合格すると以後2年間は免除になってしまいますが・・・。
ところで、午前問題は共通知識を問う午前Iだけではなく、専門知識を問う午前IIもあります。
先のリンク先表によれば、情報セキュリティスペシャリストの試験で午前IIの出題ジャンルは全部で7区分が指定されており、うち2区分が重点分野となっています。その7区分にはデータベース、ネットワーク、セキュリティ、システム開発などが含まれるのですが(当然ネットワークとセキュリティが重点分野の2区分です)、実はこれらについても私は予備知識が。
今は無くなってしまいましたが、その昔情報処理技術者試験に「初級システムアドミニストレータ」という資格があり、私は院生の頃にこれの講座の講師を(アルバイトで)していました。
この初級シスアドの重点分野が表計算、データベース、ネットワーク、ネットワークセキュリティだったんです。で、私は理系の院生ではありませんでしたし、ましてやエンジニアでなんかありません。こうした分野の一つ一つを独学で、しかもLearn by Teachingでがんばって身につけていったんです。
人に教えるとなると、「自分が何となく分かっている」だけではダメで、相手に分かるように手を変え品を変えしてわかりやすく、噛んで含んで説明できなければなりませんから、どんなに些細なことでも適切に、関連づけて話ができるようにその事柄の周辺の話題などにもアンテナを張っていました。
このときにこうやってじっくり身につけた知識が、今回ばっちり出題範囲に含まれ、しかも重点分野に指定されているわけです。もちろんあれからずいぶん時も流れていますし、この分野は日進月歩ですから私の知識は化石のようなものかも知れません。
しかし、PCもネットワークも(そして多分ネットワークセキュリティも)その基本概念がパラダイムシフトしていることはないでしょう。
土台となる概念をある程度きちんと理解していれば、(午前に関しては)後は新しい用語を押さえていけば何とかなりそう・・・か?
だって、データベースからの出題なら、SQLの実行結果【H21 春 DB 午前II 問6、問7】は問題ないし(初級シスアドではSQLの穴埋めは頻出)、正規化【H22 春 DB 午前II 問6、10】もその手順を今でもおぼえています(他方でトランザクション処理はちょっと難しいかも)。
ネットワークならプロトコル【H22 秋 NW 午前II 問4、5】、ネットワーク階層別中継装置【H21 春 ES 午前II 問17】、サブネット分割【H22 秋 NW 午前II 問15】【H21 秋 SC 午前II 問8】、プロトコル名称【H21 秋 NW 午前II 問12】あたりはだいたいOKです。
セキュリティ(ネットワークセキュリティ)に関しても、鍵暗号方式【H23 秋 SC 午前II 問6】やデジタル署名(証明書)【H21 春 DB 午前II 問16】とかは、初級シスアド講座の中で結構時間を割いて説明しまくってました。なので、公開鍵暗号方式も秘密鍵(共通鍵)暗号方式も、そのメリットデメリットを含めて、頭の中で大体正確にイメージすることができます(と思います)。
とすると、先の23区分で、PCがらみ、データベース、ネットワーク、セキュリティなどを付け足していくと、うまくいけば8〜10区分くらい手持ちの知識を活用してカバーできそうなカンジ。少なくとも、この区分はゼロから始める必要は全くなさそうですし、実際ありません。
そうであれば、午前Iの出題範囲の半分近くを既に持っている知識を活用してカバーすることが可能になりそうです。
なぜなら午前IIの出題分野は当然午前Iの出題範囲でもあるから。しかもこのジャンルに関しては、午前II対策の勉強を行えば、それがそのまま午前I対策にもなるわけですから、午前Iの突破のための対策ではさらに未取り組み分野への力の分配量を増やすことができそうだ、という見通しが立つわけですね。
捕らぬ狸の何とやら・・・なのですが、実際出題範囲が広範囲にわたるこのような試験では、こうしたココロのゆとりみたいなものって必要だと思うんです。だってそうしないと、絶対途中で挫折しちゃいますって。
こうして既に自分が持っている知識を十分に活用し(それはそのジャンルを全く苦やり直さないということでは決してない)、試験対策の勉強(ってゆーか、ほとんどポケスタと過去問を解いただけですが)をガッツリ行えば、その結果は・・・。
獲得した点数は前に示したとおり。午前Iも午前IIも、受けた試験ではそのすべてできちんと合格点を取ることができました。自分がこの勉強を始めるまで全く接したことがなかったジャンルもあって、そこからだってずいぶんと出題されたのに、です。
私の場合、という限定にはなりますが、これまでに培った関連分野の知識を有効に機能させれば午前の突破は比較的容易に可能だということの一つの証左だと言えると思います。
最も、試験前の数ヶ月でPCを何台か自作したところでPCを取り巻く環境を押さえるのは難しいでしょうし(PCをいじってPCに関連した知識を獲得できるのは、そもそもPCをいじることが好きで、いじっているうちに覚えていくものです)、データベース(というかSQL)は使ってみなければイメージがわきづらいですし、ネットワーク、特にクライアントサーバなどは実際にサーバを立ててみるなどしないと、実践を通して身につけていくのは正直厳しいでしょう。
つまりこれらはあくまで試験勉強の「補助」。「試験対策」本体として行う類のものではない、ということだと思います。
午前の試験問題の大半は過去問からの流用であることを考えれば、今からこうした知識を身につけるよりは、徹底的に過去問(とポケスタ)をやりこむことをもちろんオススメするわけですが、実際に問題を解くに当たって、もの(動作結果)をイメージできたり、操作(やその意味)をイメージできたりすれば、理解を深める上でも、問題が解けないときのちょっとしたひらめきを与えてくれたりという実利的な面でも、非常に有利に作用すると思うのです。
情報処理技術者試験の一区分を受験するのですから、実務でPCやセキュリティに触れている、とか、机上で勉強してきた成果を試す、といった具合に、何らかの接点は既に持っていることがほとんどでしょう。それが私のように、ずいぶんと「昔取った杵柄」のようなものであったとしても、せっかく身につけた(或いは知識として獲得した)内容は、うまく試験勉強に取り込んで少しでも負担を減らすように活用しましょう。これは断じてズルではありません。
うまく行えばそれは、全くその分野のことを知らない人に比して、圧倒的に有利になることは間違いないのですから。